（有）空間工房　金井建築アトリエ
信楽の家
 
  ■設計覚え書  
  築100年は経ていると思われる茅葺き民家の屋根のリフォーム。施主は信楽在住の陶芸家。
茅葺きの屋根を好まれて長い年月住まわれてきたが、生活スタイルの変化で茅の葺き替えの サイクルが短くなり、材料調達やコスト面のこともあって、他の材料で葺き替える事を決心された。 茅葺き屋根が無くなって行く事は残念なことではあるが、個人の力で守り続けて行く事にも限界がある。
既存の扠首と呼ばれる合掌組は、主体構造との絡みで利用出来なかった。新たに小屋組を設ける必要があったが、 既存構造体には全面的に荷重は架けたくないので、建物を跨いで、新たに独立柱を設け、外壁との間を中間的な領域 である軒内空間として、古い建物に新たな顔を造りだすことを目論んだ。
内でもない、外でもない淀みの空間である。 大スパンが可能な洋小屋トラス組を採用する事により、微妙に湾曲した屋根形状が実現出来た。
もののかたちに厳しい純粋な目を持っておられる施主にもＯＫを頂き、大いなる励みになった。